
東京都からIターン
酒田市を代表する日本酒「上喜元」を製造している酒田酒造(株)に入社した林綠さん。
酒田に移住し、尊敬と覚悟を持って蔵人としての一歩を踏み出した林さんにお話を伺いました。
台湾で生まれ育ちました。幼少期から日本のアニメや漫画が好きだったので、大学は日本語学科へと進み、卒業後はマンガ翻訳の仕事に就くため中国の大連にある日系の会社に就職しました。そこで5年ほど勤め、やはり日本で仕事がしたいなと思ったので東京へ移住しゲーム会社に転職しました。
大学3年生の時に交換留学で北海道に1年住んだ経験があったので、日本での暮らしは初めてではありませんでしたが、台湾も北海道もゆったりとした空間でしたので、東京の人の多さには驚きました。業界柄、出社時間が遅めで通勤ラッシュとは少しずれていたものの電車で片道1時間半くらいかかっていたので、だんだんと疲れたなという気持ちが生まれてきました。そしてこのまま40歳50歳になっても今と同じようにゲーム業界で働き続けるイメージが持てなくなってきたんです。

じゃあ次に何をしたいかなと考えた際に、大好きな日本酒に関わる仕事に就いて日本酒の世界に貢献したいと思ったんです。酒蔵って地方に多いじゃないですか? それで、妻の実家がある庄内地方での暮らしを考えるようになりました。その後東京で開催された移住イベントで酒田市ブースに立ち寄ったことがきっかけで、「蔵人」という夢へ大きく動き出すことになったんです。
初めて日本酒を飲んだのは7~8年前くらいで、台湾在住の友人が東京に遊びに来た際「記念にとっくりを買おうよ」と誘われたことがきっかけです。せっかく買ったから飲んでみるか!と軽いノリで飲んだのですが・・・実はあまり美味しいとは思わなかったんです、最初は(笑)。知識もなかったですしラベルだけみてもよくわからなかったですし。でも、当時住んでいた多摩市に「日本酒の聖地」と呼ばれるほど有名な商店があって、そこで日本酒について知識を深めたり日本酒イベントで色々な味の日本酒を少しずつ飲む楽しさを知ったりするうちに、どんどんハマっていきました。それぞれの作り手の想いを知れば知るほど日本酒の奥深さに感銘を受け、この世界で自分ができることをやってみたいと思いました。

そうなんです。本当にありがたいことに出会いとタイミングに恵まれました。
移住相談会で酒田市ブースに寄った際に「日本酒に興味があるなら酒田はおススメ!有名な酒蔵がたくさんありますよ!」と言われたのがR6年の7月で、そこから9月に行われた「蔵開き」へ参加し、その後10月には1日体験でお世話になり11月には面接と、どんどん話が進みました。
ほぼ毎月酒田に来るのは大変でしたが、深夜バスを利用したり酒田市移住お試し住宅に滞在しながら準備しました。僕の夢を応援して移住にも賛成してくれた妻には感謝しています。
酒田酒造に就職して2年目に入ったところですが、まだまだわからないことばかりで日々精いっぱいといった感じです。「こういう時はこう対処する」みたい判断の繰り返しなんですけど、その「こういう時」に対するジャッジはもう経験を積むしかないので、一見単純に見える作業でも自分には全てが難しいと感じます。
日本酒造りの工程は知識としては理解していても、実際にやってみるととても難しいですし、1日体験もさせてもらい理解していたはずだったんですけど、思った以上に体力が必要な仕事です。この世界に入ったからこそわかる酒造りの大変さがたくさんあって、全国の酒蔵の皆さんを尊敬します!本当に!!

まだまだ新人なので全ての作業が不慣れで、仕事を楽しむという余裕はなかなかないのですが、最近は麹室での作業の際に気候や蒸し上がりの状態によって麹が変化することがわかるようになってきたので、そういう面白さに気付けるようになりました。また、蔵開きなどで直接お客様から「美味しい」とお言葉をいただけた時はすごく嬉しいです!
とはいえ、精米した米を運ぶ際にこぼしてしまったり蒸米を掘り起こす作業でもたついてしまったり・・・。もっと頑張って最低限の作業をしっかりこなせるようになりたいです。
いつか自分の好きな味の日本酒を作ってみたいというのが大きな目標なので、たくさん経験を積みたいと思っています。
私が個人的に思っている上喜元の特徴は「酒米」ですね。原材料で使用するお米の種類は、恐らく全国のなかでもトップのほうなんじゃないかと思います。多種類の酒米で作る各種日本酒のバリエーションの豊富さは、お客様側からするといろんな味の日本酒を味わっていただけるのでPRポイントですし、私たち蔵人にとっても、たくさんの種類の酒米に触れることができるのはとても良い勉強になります。

また、弊社のお酒で今個人的にオススメなのは 新定番の「純米大吟醸 超辛」、通称「黒辛」です。こちらは弊社の定番商品の「純米吟醸 超辛」のワンランク上の立ち位置で、 純米大吟醸らしく香りが華やかで、飲んだ時に少し甘みを感じますが、決してくどくなく、 「超辛」のすっと入る口当たりと、すっきりした後味を残しつつ、 飲み飽きしない辛口の純米大吟醸です。ぜひご賞味ください!
体力勝負の仕事なので、休日に日帰り温泉へ行くことが楽しみの1つです。酒田をはじめ庄内地域には温泉施設がたくさんあるので、今日はどこに行こうかなと選べる環境が素晴らしいですね。酒田の「アイアイひらた」は庄内平野を一望でき景色もきれいでリラックスできるのでよく行きます。ここは移住者向け「やまがた暮らし応援カード」の加盟店となっているので、名物の「湯の塩ソフトクリーム」が無料でいただけるんですよ! これから移住する方はぜひ、活用してみてください!(笑)
東京で働いていた時よりプライベートの時間が増えとても充実しています。もともと料理が好きだったのですが、こちらでは新鮮な食材が安く買えるので一層好きになりました。月に1度くらいのペースで産直に買い出しにいき台湾料理を中心に作っています。
また最近バイクを購入しました!昔からツーリングが好きだったのですが、東京では維持費が高く所持していなかったので、この夏いろんな場所に行くのが楽しみです。

明確な目標ややりたいことを持って移住したほうが良いと思います。それがあれば少し慣れないことがあってもブレずにいられるんじゃないでしょうか。そして、ずっと都会で暮らしてきた人は地方の生活環境をしっかり確認したほうが良いと思います。酒田市はスーパーや飲食店がたくさんあるので困ることはほとんどありませんが、やはり車社会なのでそういうところも理解しておくとギャップが少ないですよね。
また自分のように酒田で日本酒造りを志したい方は、強い覚悟が必要かなと思います。お客様に美味しいと思ってもらえる日本酒を作るのは想像以上に大変なんだと実感しています。私も酒造りに携わってからは、プライベートで飲む日本酒も1口1口をより一層味わって飲むようになりました。
自分はまだまだ経験も浅く大きなことは言えませんが、職人一同丁寧に大切に作っていますので、ぜひ上喜元を手に取っていただきたいです!!
■上喜元 酒田酒造株式会社 https://www.jokigen.com/