佐藤青磁さん

海上保安庁から定期船とびしま航海士に転職

Uターンし、酒田港と飛島港をつなぐ「定期船とびしま」の航海士として働いている佐藤青磁さんは、かつては海上保安官として海の安全を守ってきました。故郷に戻ろうと思ったきっかけやこれからの目標について伺いました。

海と船が好きな少年は、やがて海の安全を守る仕事に

酒田市で生まれ育ち、海が身近にあったので子どもの頃はよく釣りに行っていました。釣りをしながら海を眺めているうちに船に関心を持つようになり、将来は船に乗る仕事に就きたいと思うようになりました。高校卒業後は海上保安庁への採用が決まり、必要な知識や技能を身に着ける海上保安学校に通うために京都府の舞鶴市へと行きました。1年間学校に通った後、最初に配属された秋田で2年、その後は岩手の釜石市で2年勤務しました。5年間ほどは酒田を離れていたことになりますね。

海上保安庁の仕事は、日本の海の安全を守るという重要な任務を担っています。大和堆周辺海域や尖閣諸島周辺の海上警備、密漁をはじめとした違法行為の取り締まりなど任務は多岐にわたり、休日でも事件や災害があれば出動します。国の治安にも大きく関わっていますので、強い使命感を求められる仕事です。やりがいはありますが、どうしても転勤が多くなるため、この仕事を続けていくなら、ひとつの地域に腰を落ち着かせて暮らすことは難しいだろうという思いはありました。

 

子どもが生まれたことで気持ちに変化が

Uターンのきっかけは生活面や仕事面で色々な変化が重なったこともありますが、やはり娘が生まれたことが一番大きいですね。家族と一緒に過ごせる時間をもっと増やしていきたいという気持ちが強くなり、思い切って退職することを決めました。妻とは以前から酒田に家を建てたいという話をしていましたので、これを機に酒田に定住できるような仕事を探そうと気持ちを切り替えました。前職で培ってきた技術や経験を生かしたいと思い、船に関係する仕事を探してみたところ、ちょうど定期船とびしまの求人を見つけることができました。ただ、そのときに出ていた求人はエンジンなど船内の機械を管理する機関士の仕事でした。私は船の操縦を担う航海士としてキャリアを積んできましたので、同じ船に乗る仕事でも役割が異なるものでした。けれども、せっかくのチャンスなので電話で直接「航海士の募集はありませんか」と問い合わせたところ、「ぜひ来てください」というお返事をいただき、無事に酒田で船に乗る仕事を見つけることができました。

 

現在の目標はマイホームを建てること

飛島には子どもの頃、家族で海水浴に行ったことがありました。また、中学生の時にはアメリカから同学年の男の子がホームステイに来る機会があって、そのときも一緒に飛島に遊びに行ったのを覚えています。実際に定期船で働いてみると、思っていたよりも観光客が多いことが分かりました。観光はもちろん釣りのスポットとして人気がありますし、夏の時期は海水浴に行くご家族も多いです。妻と娘とはまだ飛島に行ったことはないので、娘がもう少し大きくなったら一緒に行きたいですね。

酒田にUターンしたことで家族と過ごす時間が増えましたので、娘の寝かし付けができたり、休日に家族そろって出かけたりと、日常の中で充実感を得られることが多くなりました。これまでは転勤の多い生活でしたが、これからは酒田に根を張っていくことになりますので将来設計をしっかり立てていきたいですね。今はマイホームを建てることを目標に、仕事も子育てもがんばっています。

 

はじめて酒田で暮らす妻、智菜さんからもお話を伺いました。

私の実家は九州なのですが、地元を離れて生活することに抵抗はありませんでした。

酒田は私にとって新しい環境です。私の地元では雪が降ってもほとんど積もらないので、こっちに来て雪が一面に積もっている景色を見たときは、「ああ、こんなにいっぱい積もるんだ!」って驚きましたね。それから、旬の果物は高級品というイメージがありましたが、近所のスーパーで手頃な値段で売られているので、気軽に食べられる感じが良いなと思いました。新鮮な野菜や果物が身近にあって手に入りやすいですし、なんといってもお米が美味しいです。日々の生活を送るうえで、美味しい食べ物が充実しているというのは嬉しいポイントですね。移住したばかりなのでまだまだ慣れていないことも多いですが、5月の酒田まつりは賑わっていて楽しめ、人の活気があるまちだなと感じました。娘が小さいので今はまだ遊びに行ける場所は限られますが、日和山公園にはよく散歩に行っています。子連れでランチに行くときも、お店の方が子ども用の椅子を出してくれたり、ベビーカーを預かってくれたりする機会があり、その度に地域の人たちの優しさが伝わってきます。気になるお店もチェックしているので、娘が大きくなったら一緒にカフェ巡りをしてみたいですね。

 

移住を考えている人にメッセージ

学生の頃は正直なところ、酒田はすごく田舎でもないし、かといって都会でもない中途半端なところだなって印象がありました。でも、仕事を通じて様々な地域へ行く機会がありましたが、なかなか酒田のような町はありませんでした。酒田は自然が多く、市内に住みながら色々な場所に行けるのが魅力です。海にも山にも行けるし、買い物や外食するお店にも困らない、中途半端ではなくバランスが良い、充実しているまちなのだと気づきました。

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